我と汝

根源語を語る人は、言葉の中に入ってゆき、その中に生きるのである。

マルティン・ブーバー『我と汝』

この頃、キリスト教神学に触れることが多く、それと関連して、哲学書を読む機会が増えている。しかし、先日、フィヒテ『浄福なる生への導き』を読んで、本当に分からない箇所にぶつかって、自分の読解力の低さに愕然とした。学生の時よりも確実に下がっている。読書量が減ったためだ。

一方で、マルティン・ブーバー『我と汝』を読む機会を得た。冒頭から訳が分からなかったので、普通の読書では駄目だと観念して、手書きでメモを取り始めた。

〈なんじ〉を語るひとは、〈なにかあるもの〉をもたない。否、全然なにものをも、もたない。そうではなくて、〈なんじ〉を語るひとは、関係の中に生きるのである1

今後、ますます文学、神学について書く機会、語る機会が増えてくる。今のままの読書量ではぜんぜん太刀打ちできないだろう。バルザックのごとく、濃いブラックコーヒーを飲みながら頑張りますか。


  1. マルティン・ブーバー(植田重雄/訳)『我と汝』(岩波文庫、1979年)9頁。

天使の分け前

普段、鞄に入れている聖書の痛みが激しくなってきたので、他の版に交代することにした。私は文語訳聖書を愛読しているが、2年間、鞄に入れて、電車の中、あるいは会社の休憩中に読んできた。しかし、鞄ごと雨に打たれることもあり、表紙や本文が所々破れてしまった1

なので、今まで愛用していた文語訳聖書は書斎のデスクまたはテーブルに置き、鞄には日本国際ギデオン協会訳の新約聖書を忍ばせることにした。これは協会が翻訳・発行している無料の聖書で、神田キリスト教会を通じて頂いたものだ。無料だと侮るなかれ。私はこの訳業を通じて、15年の中断を経て、再び聖書に、キリスト教に立ち帰ることができたのである。思えば、18歳の時に読んだ日英対訳聖書も、ギデオン協会の版であった。

深夜、聖書を読んでいると、私の蔵書はこれだけで善いのではないか、と思える。あとは数冊の辞書、技術書、文学書があれば十分で、私の孤独は神の御言葉で満たされているのだ。あとは天使の分け前(ウイスキー)があるとなお良い。


  1. セロハンテープで補修しながら使っている。

TIME CAN’T WAIT

今週は新聞にたくさんの記事を書いているので、いい感じである。しかし、手持ちのネタをだいぶ放出したので、来週からどうしようかと途方に暮れる自分がいる。

深夜、ウイスキーをやりながら、オフコースを聞く。「眠れぬ夜」「たそがれ(ENDLESS NIGHTS)」「YES-YES-YES」など好きな曲は多いが、「Yes-No」に鳥肌を感じることが多い。オリジナルはもちろん、小田和正のリメイクもいい。

「夏の終わり」。小田和正が一番好きな季節だ。オフコースの人気の絶頂から、解散、各々の独立に至るまで、その過程は一瞬だった。至福の後の私たちの眼差しは、すでに終末を見ている。「時は待ってくれない」のだ。

TIME CAN’T WAIT

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睡眠薬

不眠症が深刻になったので、睡眠薬を飲み始めた。私は介護をしている時も、新聞記者をしている時も不眠症になる。この宿痾はどうやら私の存在に根差していると思わざるをえない。

処方された睡眠薬はデエビゴ 5mg。服用後、徐々に神経に作用し、覚醒後のキレもいい、非ベンゾジアゼピンの新しいタイプの睡眠薬だ。

しかし、これを飲んでも頭と体がかったるくなるだけで、まったく眠れない。仕方ないので、ウイスキーをストレートで一杯やって、ようやく眠りに就くことができた。

私の場合、短時間で強力に作用するベンゾジアゼピン系のハルシオン(トリアゾラム)やマイスリー(ゾルピデム)の方が向いているのではないかと思う。今週、医者に行くので訊いてみよう。

活字と組版

午前1時に起きる。珈琲を飲む。私にとって珈琲は仕事と勉強のために仕方なく飲むものである。学生の頃は朝から晩まで珈琲を飲み、それで何の支障もなかったが、社会人になり、ストレスで不眠がちになると、夜、珈琲を飲む習慣は失われてしまった。本当は酒よりも珈琲を飲んだ方が、生産性が桁違いに上がるに決まっているが、ナイトキャップのウイスキーの味を占めて以来、いまでは専ら酒徒である。

しかし、不眠もここまで嵩じると、夜に珈琲を飲んでも眠れるのではないか、という気がしてくる。痛風にも良いし、私はもっと珈琲を飲むべきなのかもしれない。

教会で神学博士に『レンガと蔦』の組版を褒められる。「きれいになりましたよね。いったい何のソフトを使っているのですか?」

先方はInDesignを想像していたようだが、私が「LibreOffice Writer」と答えると驚愕していた。「ええ、無料じゃないですか。禁則処理とか大丈夫なんですか?」

私はその点は問題ないこと、ルビのレイアウトに少々難があるだけで、あとは普通に使えることを申し上げた。「私は実はGUIでポチポチやるのは好きじゃないんですよ。本領は \LaTeXなどのマークアップ言語にあります」

太初はじめことばあり1。私は言葉が活字(紙とインク)になることを受肉と呼んでいる。きれいに組版された活字は極めて善いのである。


  1. 『ヨハネ傳福音書』1:1。

ツカレ

新宿で大学の友達に会う。何か用があるのかと思ったが、特になく、暇だったという。

西新宿の立ち飲み屋でイッパイやる。兼子くんに合った仕事はないものかねぇ、と聞くので、私はキリスト教ないしキリスト教文学をやりたい、と答える。あとはひとえに努力と才能、そして、生活との闘いにかかっている。

友達に「兼子くんは疲れている」と言われる。特に目の辺りに疲れが出ている。寝不足と酒の飲み過ぎ。そして、ストレスだ。仕事、あるいは仕事とまったく関係ない所でストレスを溜めたくないと切に思う。楽しく生きよう。そのためには楽しく働こう。

その後、地元の友達に誘われたので、焼鳥を買って遊びに行く。一緒にMIYAVIと成田悠輔の対談を観る。芸術家アーティストとして成功する。そのために僕たちはどこまで真摯に生きられるだろうか。

0時に寝て、3時に起きる。そろそろ薬をちゃんと飲んだ方がいいのかもしれない。

Bar Kaneko

3時間寝て、目を覚ます。ウイスキーコークを飲む。

早朝覚醒を嘆じる前に、自宅がバーみたいになっていることに気づく。ロングカクテルはお手の物だし、これでシェーカーがあれば、ギムレットも物にすることができる。家でカクテルを作る生活に憧れていたのは確かだが、生活様式ライフスタイルとして、ごく自然体に作られた。基本的に私は洋酒以外に飲まない。

先日、閉店した居酒屋から大型の食器棚を譲り受けたので、より一層、酒場バーの雰囲気が出ている。搬入を手伝ってくれた友人には感謝しかない。

閑話休題それはともかく、双極性障害、その症状の一環として睡眠障害を抱える私にとって、普通の勤め人の生活はやはり厳しいと思う。日中、8時間ぶっ通しで働くのがけっこうしんどいのだ。在宅勤務を中心に短時間のシフト勤務を組み合わせないと、身体が持たない。来年のライターとしての生活はそのように構築するつもりだ。

自宅でショートカクテルを作るために、シェーカーを買い足すのに似ている。バー兼子の開業だ(苦笑)。