モニタリング

いま、私は、実際に一日に服用する倍の量の抗精神病薬(オランザピンとクエチアピン)を処方してもらっている。体調に合わせて飲む量を調節するのが当初の目的だったが、いまでは単に精神科を受診する回数を減らすための措置に過ぎなくなっている。このアバウトな処方のおかげで、たしかに自分で飲む薬の種類と量を調節できるようになったが、その都度、体調が変わるので、専門家に診てもらう必要がでてきた。

一ヶ月分の薬を処方してもらって、定期的に薬の効果をモニタリングするほうが、本来の医療の在り方として正しいのではないか。患者が孤独に薬の効果を疑いつつ飲み続けるよりも(患者にも素人と玄人の違いがある。私は玄人に近づきつつある。両者を分ける境界は、病気に支配されるか、病気を支配するかの違いである)、医師、薬剤師などの知識と経験が豊富なアドバイザーが近くに居てくれるほうが頼もしい。「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら、体調に合わせて薬の種類と量を調節すること。精神科診療というのは、もっと文学的な、あるいは心理学的な、むしろ哲学的なイメージを持たれるかもしれないけど、実際は体調に合わせて薬を調整する内科とほとんど変わらないのである。私が精神科にかかる第一の理由は睡眠状態を改善することである。躁鬱などの精神病的症状は良眠することで寛解していくだろう。もちろん、それまでの過程は単に薬を取捨選択するだけではない、人生における苦闘があったことは言わずもがなである。