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TAKASHI KANEKO

贈物

2019年の年末は実家で過ごした。30日はスキヤキを、31日はおせちとケーキをごちそうになった。それに会津田島の銘酒〈國権〉も。私においしいものを食べさせてあげたい、飲ませてあげたい、という両親の思いがひしひしと感じられた。

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実家を出て8年、不肖33歳にして、両親に一度も仕送りをしたことがない。結婚記念日は忘れたけど、母の日、父の日はおろか、母の誕生日、父の誕生日にも、何も贈ったことがない。心配、迷惑ばかりかけて、喜びの少ない息子だと思う。これも私のエゴイズムのせいだ。

これからは機会を見つけて、酒、茶、果物、陶器などを贈るようにしたい。親切は友達がいるから、孝行は親がいるからできるのだ。仕事をすることがただ金を稼ぐためではなくて、本当に自立する道でありたい。数年前の父との会話を思い出した。

「いい本を作るよ」

「そんなことはどうでもいい。おまえが元気でさえいれば」