BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

再開

短歌を書きたい気持ちがムラムラ起こってきたので、昔、同人誌に発表して思い入れのある、みずから暗誦できる歌を手がかりに、作歌を再開することにした。以下、3首を抜粋する。

春風が街を吹き行く日の午後はおさなが道にうつむいて泣く

炭酸の泡がしゅわしゅわしていると童女のような感想を持つ

正午まで留守にしている席あれば福島銘菓ままどおる置く

新聞、雑誌、そして、このブログにも定期的に投稿して、普段の生活のささやかな気づき、葛藤、感興、違和……を、五七五七七の定型詩——短歌に昇華していきたい。近頃の世間の風潮として、大きな感動、大きな演出、大言壮語が尊ばれている。しかし、小さな感動には、身の丈に合った、小さな形式が必要なのである。そして、それは大きな感動に比して、少しも価値が劣るものではない。平凡でありながら、美妙、貴重であるのだ。