BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

Three rounds in Tokyo

29歳の時に東京に移住してきたので、6年が経つ。

大都会は誘惑が多いので、その分、躓き、気落ちすることも多いけど、まだ東京と自己に絶望しないで、この街に踏み留まろうと思う。

私の東京生活には三つの周回ラウンドが存在する。

1回戦

出版社に勤めていた。編集者としてではなく、作家として身を立てたいと思っていたけれど、具体的にどうすればいいか分からなかった。文章も書けなかった。隅田川、中川を眺める私の眼は呆然としていた。

2回戦

出版に見切りをつけて、福祉・介護の仕事を始めた。老人ホームで昼夜問わず肉体労働に励み、心身を蝕みつつ働いていたら、持病の躁鬱病が寛解した。職場の野郎共と仲良くなったのはこの頃で、煙草の味を覚えた。酒も増えた。女性達も可愛がってくれたと思う。しかし、このまま福祉畑、介護畑を歩むかと思いきや、出版業界の闊達、溌剌とした雰囲気が忘れられず、今度は編集者としてではなく、作家として復帰することを祈願する。ブログを始める。

3回戦

老人ホームの正社員を辞めて、個人事業主の文士(Documentalist/DocumentaryWriter)として開業した。副業ないし複業として、老人ホームの勤務と並行して、訪問介護も始める。トリプル・ワーク也。生活と戦う。先々週、新型コロナに感染する。昨日、職場に復帰する。

出版・文筆の道を歩み通したいと改めて思った。肝心なのは書き抜くこと、生き抜くことだ。