情報活動

勤務先の職場でホール業務をしていると、普段、何かと気にかけてくださる看護師の方が、新聞記事の切り抜きスクラップを手渡してくれた。

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「介護ライターって、あなたのことじゃないの。兼子くんも早く立派になって、こういう所に書けるといいわね」

6月8日付の『朝日新聞』の記事。約1ヶ月前の記事をどのようにして発掘してくれたのか疑問に思ったが、私が山谷に通い始めたのは5月25日。もしかすると、その頃から意識して新聞、雑誌などの媒体に目を通されていたのかもしれない。——おそらく、私以上に。「本当に気にかけてくれていたんだ」と思うと、人一倍、孤独を感じやすい私は感謝の念に堪えられなかった1

ルポを書く。短歌を書く。政治学を研究する。何らかの活動をしていると、本人が予期せぬ以上に、あるいは本人の実力と努力を遥かに越えて、情報が集まることがある。それは一瞬、偶然のように見えるが、のちに冷静になって考えると、実は必然の糸で結び付けられているのかもしれない。人は真理を手繰り寄せるのだ。

人間は本質的に孤独である。けれども、孤独は活動の契機であり、活動は孤独を保ちつつ、それを超えるのである。深夜、煙草をふかしながら、一片の切り抜きスクラップを片手に、そんなことを考えていた。


  1. これは私の弱さであると同時に強さでもあるのだろう。