イギリスの小説家 E・M・フォースターは晩年、自身の作家生活を回顧して語った。「私は金のために小説を書いた」文学は金になるか、ならないか。小説は金のために書くべきか、書かざるべきか。このいやらしくシンプルな論争は文学史の通奏低音として鳴り響いているが、作家の作品を書く動機は問わない、という結論で一致している。それは究めがたく、道徳的判断は相応しくないのかもしれない。
私にとって、少なくとも原稿料、すなわち金を稼げるようになることは、ライターとして一人前になったことの証である。今年、山谷の修道院の取材を終えたら、来年の新しい