すがすがしい朝。ウイスキーを飲む。会社の仕事は午後から始まるので、それまでに醒めていればいい、という計算である。
最近は抗精神病薬 アリピプラゾールが身体に馴染んできたのか、コンスタントに5時間くらい眠れるようになった。それでもやはり、長く眠れていた頃に比べて疲れやすいので、機会を見つけて、適宜眠るようにしている。私の寝室の布団は敷きっぱなしである。
世間では、ワークライフバランスについて、喧しく言われるようになってきたが、一方では、ワーカーホリックに対する信仰も未だ根強く残っている。寝食を忘れて働く仕事師は、ことごとくショートスリーパーの資質を備えている(とされる)。実を言うと、私もワーカーホリックに対する憧れがあり、基本薬をアリピプラゾールに切り替えて以後、睡眠時間が短くなったのを内心喜んでいた。実際、仕事量と活動量は上がったので、私の期待外れではない。
しかし、ショートスリーパーは欠点(欠陥)がある。精神的に不安定になりやすいのである。医学的に見て、人間に平均的に必要とされる睡眠時間を1時間でも2時間でも削ると、体と心に静かに負担が掛かる。なので、みずからをメンヘラと自覚している人は意識的に睡眠時間を確保した方がいい。特に心身の調子を崩している時は尚更である。
今、私はさまざまな制約の中、寸暇を惜しんで、よく働いていると思うが、本当の私はワークライフバランスを心底求めているのだと思う。文筆であれ、介護であれ、私は仕事一辺倒になると、いつも体調を崩した。決まって先にメンタルがやられるのである。その最初の兆候は不眠である。私はロングスリーパーに憧れる。アインシュタインは毎日10時間眠っていたと聞く。彼の相対性理論のように宇宙の仕組みを解き明かすためには、たくさん寝て、悠長な気持になることが肝心なようだ。