BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

二片の砂糖

胃がムカムカする。飲酒禁止。会社からの帰りがけに、スティックシュガーとコーヒーフレッシュを購入し、ミルクコーヒーを拵える。美味しい。何杯でも飲める。やはり、コーヒーはブラックよりも、砂糖とミルクをたくさん入れた、かなり甘めのコーヒーが好きだと実感する。昔、まだ実家で暮らしていた頃は、砂糖ぬきのミルクコーヒーを飲んでいたが、実家を出て、一人暮らしを始めて、仕事を持つようになると、砂糖をふんだんに加えるようになった。疲れているのだろう。当時、付き合っていた恋人に「子供みたい」と言われたが、今思えば、恥も外聞もあったものではない。趣味とは、嗜好とは、そういうものだ。

先日、友人に文章を酷評された。確かに私の才能は散文よりも韻文にあるが、日がな短歌ばかり書いて暮らす訳にはいかないので、引き続き、へこたれず毎日文章を書いていく。美文(これは明治時代に生まれた概念である)を書くことはひとまず措くとして、文章を書き慣れると、文学以外にも効用は大きいのだ。表現できる人は幸福さいわいである。

日中、仕事をしている最中に「やっぱり、次の転職先は福祉系の職場にしようか」と思い悩んだが、帰宅し、仮眠して目覚めると、やはり次の職場は出版を含めたメディア系の方がいい、という結論に達した。その方が生涯年収が高いのである。安定を取るか、それともリスクを覚悟して、才能と収入を取るかの違いである。私は後者の人間だから仕方がない。本当に安定が欲しければ、公務員になるか、大企業に就職すればいい。しかし、幸か不幸か、それは叶わなかったのだから、私の存在に原因があるのだろう。昔、大伯母が別れ際に「あんたは本当に何者かになるかもしれないね」と言ったが、この予言を実現するために、私は苦しい日々を生きているのではないか。

精神保健福祉士と社会福祉士の資格は機会チャンスがあれば取りたい。しかし、それは実務で使うというよりも、むしろ、文筆を豊かにするための道具として考えるくらいがちょうどいい。私の理想は一つしかない。あとはそれを実現するための事実を拵えることだ。