BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

傭兵のごとく

昨日は帰りがけに、350mlの缶ビールを飲んで、家に帰ったら、そのまま寝てしまった。8時間くらい眠っただろうか。目覚め爽快。この頃の私は酒の力を借りなくても、よく眠れるようになってきた。

最近はじめた習慣として、リュックサックにノートパソコンを忍ばせて、会社の行き帰りと休憩時間に執筆するようにしている。昨日は短歌を2首書いた。やはり、つねに原稿を書ける体勢にしていると強い。身体と精神が24時間創作のために構えている感じである。

この常時パソコンを携帯する仕事のスタイルは、朝日新聞出版で派遣社員をしていた頃に、業務委託として勤めていた編集者から学んだ。彼は会社から支給されたWindowsPCと愛用のMacをまるでトレーダーのように机に並べて、モニターを凝視していた。そして、会社の行き帰りや、取材、打合せに行く際は、必ずMacをリュックサックに忍ばせるのだ。その姿はまるで、ライフルを背負う傭兵を見ているかのようだった。

彼は書籍編集のみならず、動画編集もこなしていた。この点に関しては、私は逆立ちしても彼に敵うことはできない。そのクオリティは、凡百の結婚式の披露宴で流れる作品のレベルを遥かに凌駕していた。「圧倒的ではないか」というギレン・ザビの声が聞こえてくる。

私が彼に勝る点があるとすれば、それはコードを書けることである。私がTeXを始めた時、彼は嘲笑ったが、それは私が本当に文章を書き始める転換点ターニング・ポイントであった。TeXを契機に私はコマンドラインの使い方を覚え、HTMLなど、その他のマークアップ言語を覚える嚆矢になったのだ。出版・印刷においては、今だWordやInDesignなど、WYSIWYGのソフトウェアが支配的だが、私にとっては、WYSIWYMの文章構造を明示するスタイルの方が合っていたのである。

あと、彼はマウスがなければコンピューターを操作することができなかったが、私はタッチパッドがあれば十分である。むしろ、いちいちホームポジションから離れる必要がないので、その方がいい。これは努力と忍耐、そして習慣の賜物である。