時宜

あましたよろずことにはあり
よろず事務わざにはときあり
うまるゝにときありぬるにときあり
うるにときありゑたるものくにときあり

『傳道之書』

この頃、作品と呼べる物をほとんど書いていない。小説はむろん、短歌も新作を書くというよりは、すでに書き溜めたものをリライトばかりしている。転職活動で余念がなくなり、創作に意識を向けることが難しくなったことが一因として考えられるが、原因はそれだけではない。たぶん、創作に不毛な時期なのだろう。ライターは書かなくば存在しない。書けなくなること、それはライターの死を意味する。この不毛な時期をどう過ごすか。創作は最低限にして(あくまで書くことは止めない)、執筆以外の活動に労力を振り向けることである。

たとえば、普段の執筆は日記とブログと短歌にとどめておいて、それ以外の時間は読書、料理、恋愛などその他の活動に没頭する。その経験が後の創作の肥しになると信じて、不毛な季節を耐えるしかない。介護の4年間を通じて、私は現実に静かに耐えることを学んだ気がする。——書くに時があり、読むに時がある。