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BAD COMMUNICATION

BAD COMMUNICATION

  • アーティスト:B’z
  • Ariola Japan
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小岩のヴァイオリニストの影響で、B'zのミニアルバム『BAD COMMUNICATION』を聴き始めた。私はそれまでロックはほとんど聴いたことがなく、好きなジャンルと言えば、槇原敬之など、坂本龍一の影響を受けたテクノポップだった。正直、ロック就中、B'zは苦手意識があったのだ。しかし、何事も食わず嫌いはよくない。家で酒を酌み交わす折に、彼が私にYouTubeを見せ、聴かせるので、「よし。それなら、ちゃんとディスクを買って聴こう」と思い立ったのである。最近はAmazon Musicを利用して満足してしまうこともあるが、私は基本的にCDなどの出版物は購入して、永続的に楽しむことを信条としている。

私のようなテクノポップに親しんでいる人間にとって、現在のB'zは敷居が高いように思えた。なので、B'zがまだBeingに所属していた頃の明石昌夫がプロデューサー/アレンジャーを務めた作品を手に取ることにした。歴代のB'zの楽曲はYouTubeの「B'z History」で窺い知れるので、ぜひ視聴されたし。B'zに触れる良いきっかけになる。

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その中で、もっともクールだったのが、「BAD COMMUNICATION」である。初期のB'zは事務所の方針で、TM Network(小室哲哉)の影響を受けていると言われているが、実際に聴いてみると、それに尽きないことが分かる。小室の影響を受けながらも、確実にその先を走っているのだ。同曲の演奏時間は7分25秒。1989年に発売されたJ-POPとしては破格の曲の長さである。前年にTMNが「BEYOND THE TIME」を出していることを鑑みると、これは凄いことだと思う。TMNは大衆の求める作品を作るのに対して、B'zは大衆の欲望の先を行く作品を作る。ロックとは前衛の諸形態のうちの一つである。 B'zと小岩のヴァイオリニストは私にそのことを教えてくれた。