BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

朝カレー おかわり!

昨日、『塔』の原稿を職場の最寄の郵便局に出しに行ったときのことだ。

先客が居たので、窓口に並んで待っていると、「整理券を取って、待っていてください」と、受付のおねーちゃんに言われた。

ここはそういうシステムなのか。ビジネス街だから、来客が多いんだろうな。それくらいに思っていた。

「18番さーん」

番号を呼ばれて窓口に行くと、私は封筒を差し出して、「普通郵便でお願いします」と言った。

「到着の日時の指定はありませんね?」わざわざ訊いてくれるなんて、慎重な人だなと思った。「はい。特にありませんよ」また、身長の高い子だな、とも思った。

「カレーもいかがですか?」一瞬、何を言っているのか分からなかったが、窓口に確かにカレーが置いてある。ポークカレーだったように思う。

「カレーは今朝、食べてきたんだよ」

「ええ、そうなんですか! 夜もいかがですか?」

まだ、家の鍋にルーが残っていたので、それは丁重にお断りしておいた。コンビニで会計の際、「フライドチキンもいかがですか?」と訊かれるのに似ている。

支店の営業方針で、カレーの販売を強いられているんだろうな、と思うのは簡単だが、出勤前、おねーちゃんのはにかむ姿を見て楽しくなった。彼女がアドリブで返したとっさのひと言が、毎日のルーティンに風穴を空けるのだろう。

今日は良い日になるな、と思った。