記者と編集者

編集者は待つのが仕事である。しかし、私は待つのが嫌いである。

昔、文芸の出版社で編集者として雇われていたとき、隣に坐っている社長が言った。「君は編集者って感じじゃないよなぁ」

その社長の言葉は正しくて、今、私が勤めている会社にも編集者はいるけど、記者の私達と根本的に仕事の仕方が違うと感じる。編集者は待つが、記者は動く。多動性の気がある私はたぶん、後者の方が向いているのだ。

先日、編集者の友達と酒席を共にする機会があったが、我/彼の違いを悟らずにはいられなかった。それは悪い意味ではなくて、働き方、考え方の次元のことである。彼等と話していると、やっぱり、私は編集者にはなれないな、と思う。昔、社長が言ったことが実現した。正解だったのである。

なので、私は今後、編集者になることはないと思う。少し前は転職活動で何としても出版業界に戻りたかったから、面接で「編集者にもなれますよ」というような顔をしていたが、ことごとく落とされた。先方の目が正しかったのである。記者ライターを求めている会社が私を温かく迎えてくれたのである。今後、もし何かの都合で編集者になることを求められたら、それは丁重にお断りして、フリーライターとしてアルバイトをしながら書き続けるだけだ。つまり、今までと何も変わらないのである。