BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

朝シャブ

抗精神病薬を飲むようになってから、睡眠欲が減少したのを引き換えに、読書欲、執筆欲、食欲、そして、性欲が回復した。性欲に関してはひとまず措いて、今回は食欲について話したい。

介護の現場労働を辞めた2023年以来、私は昼と夕の1日2食の生活を送っていたが、会社員を辞めてからは、1日1食に次第に遷移していった。働かず、部屋に閉じ籠って一日中本を読んでいるだけだから、それでも間に合うのかもしれないが、夜、突如として空腹ないし飢餓を感じて、ドカ食いしてしまうのは閉口だった。空腹で眠れないのも悩みの種だった。

しかし、1日1食を続けていくと、やがて、活動力が低下して、鬱もあいまって、布団に仰臥する時間が増えるようになる。近年とみに増えている若者の孤独死は、こういう経過を辿って起こるんだろうな、と思う。命の危険を感じた私は、手元に残っていた抗精神病薬を飲み始めた。

鬱が解消されて、むしろ、やや躁になると、あらゆる欲求が回復した。食欲はその最たるものである。今朝、私は冷蔵庫にあった豚バラを使って、しゃぶしゃぶをした。朝、ひと仕事終えた後の朝食は善いものである。豚肉をすべて食したあと、ポン酢をスープで割って飲むと、言いようのない充実を感じる。また、美味しい朝食を食べたい。