BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

修業

バーテンダーとしてカウンターに立って、7日が過ぎようとしている。最初は黙々と食器洗いばかりしていたが、近頃は徐々に会計や接客などを任されるようになった。常連のお客様にはカクテルをお作りすることもある。

カウンターの外側に客として坐っている分には、私はそれなりに洋酒のことを知っているつもりになっていたが、実際にカウンターの内側で働いてみると、私はまったくウイスキーのこと、カクテルのこと、そもそも洋酒全般を知らなかったんだということに気づく。業界の現場で働かなければ分からないことが山ほどあるのだ。

むこう3ヶ月間で、お客様の前に出ても恥ずかしくないバーテンダーとして成長できないだろうか。書籍や道具を入手して、自分なりに修業してみようと思う。肝心の文学の修業はどうなっているのか、と言われそうだが、それとこれは並行しているのである。