BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

水商売

正午過ぎに目を覚ます。背中がバキバキに痛い。現場仕事を久しぶりに4連勤おこなって、疲れているんだと思う。紅茶を淹れて、陽の当たる窓際の席に腰を降ろす。今日は溜まっていた洗濯物を片付けて、うず高く積まれた本をどっさりと読む。ただし、勉強に終始せず、創作もできれば善いのだが。少なくとも、1日1時間は創作に費やしたい。

銀座のバーの勤務は14時30分から始まるが、夕方になるまで基本的にお客さんは来ない。お客さんを待つのもバーテンダーの仕事のひとつだが、できれば、そこそこ忙しい現場に身を置きたい。16時半または18時半出勤くらいがいいかな、と思う。週5日で働く分には、勤務時間に関しては柔軟に応じてくれるので、見習い期間が過ぎたら、ライターの仕事を頑張って、書斎と酒場の仕事の両立に努めたい。

しかし、今回、初めて飲食業、なかでもバーという特殊な業態(水商売!)で働いているが、人間関係がすこぶる良好である。洋酒という比較的高価な嗜好品を扱っているためなのか、それとも、バーテンダーのなせる業なのか……。いずれにせよ、私はもう堅気の仕事には戻れないだろう。