私の勤めるバーは禁煙なのだが、ウィスキーなど嗜好品を扱っていることもあり、話題が時にタバコに及ぶことがある。
先日、普段バーに行く習慣のないお客様から「ここは禁煙だけど、シガー・バーもあるよね。ウイスキーを飲みながら、葉巻を吸うこともあるの?」と聞かれた。
私はタバコはたまに吸うけど、「シガーは少し塩っ気があるから苦手です。むしろ、パイプの方が好きですね」と申し上げた。
「パイプとは、またこだわっているね」とお客様に言われたけど、私としてはそのつもりはなく、ただシガレットよりも喫味がよく、少々雑に扱っても美味しく吸えるから、と申し上げたかったけど、タバコを吸わない人には、このニュアンスが伝わらないと思ったので、黙っていた。
ただ、「どうしてパイプを吸うの?」という質問に対しては、「ブラック・ジャックに憧れたからです」と、澱みなく伝えた。私がパイプを始めた理由はさまざまだし、33歳でパイプ片手にバー・デビューを果たしたのは理由があるような気がするが、その消息に関しては、気心の知れた、分かる人だけに伝えるようにしている。
