今週、日曜日に痛風発作が起こって以来(それ以前にも予兆はあり、金曜日の夕方には足を引き摺るようになった)、禁酒していた。患部が疼痛の他に発熱もしていて、酒を飲むどころではなかったのだ。
しかし、水曜日の夜には酒を解禁した。具体的にはスピリッツの一種、ジンである。
痛風の発作中、原則、飲酒は厳禁とされている。アルコールは患部の炎症を強め、血中の尿酸値を高めるからである。確かに私もこの現代の西洋医学の原則に従って、発作中は禁酒をして、鎮痛剤 ナイキサンを飲んできた。しかし、疼痛が治まってきた頃、痛風は左足の母指球から足首に転移し、私の片足は浮腫でパンパンになった。
炎症はひとまず治まったものの(まだ若干、熱を持っているが)、浮腫にはナイキサンは大して効かない。そこで頭に浮かんだのはジンだ。ジンに使われている主要なボタニカルのジュニパーベリーは解熱、鎮痛、利尿の効能がある。ここでひとつ、ジンの薬効に頼ってみようと思ったのである。
試した・用いたジンは、タンカレー、ボンベイ・サファイア、桜尾である(なんか多い)。タンカレーを用いたのは、大衆的なロンドン・ドライジンの中で、多くのジュニパーを抽出しているからである。ボンベイ・サファイアを用いた理由は、ジュニパーの他に、コリアンダーやアンジェリカなど、なんだか体に良さそうな薬草を抽出しているからである。桜尾は、なんとなく柑橘を主体にしたジャパニーズ・ドライジンを飲みたかったから。
会社勤めを終えて、夕方、足を引き摺り引き摺り家に帰り、洗濯機を回しながら、ジンをストレートまたはトワイスアップで飲んだ。ある程度満足して、午後8時半に寝て、午前0時に起きると、意外なほど寝汗をかいていた。そして、肝心の左足の浮腫はいまだ少し熱を持っているものの、就寝前よりも軽減されていた。
たぶん、ジンを飲んだことで、血の巡りが良くなり、それで浮腫が改善されたのではないか。私は近代西洋医学を否定する者ではないが、科学としての医学も所詮、仮定と実験の上に成り立っているのであり、或る時代に支配的な信念・実証体系は、つねに覆される恐れがある。古代・中世・近世も含めて、西洋医学は酒、特にワイン、リキュール、スピリッツを毒であると同時に薬として、畏れ慄きつつ用いてきたが、有史以来、人類が直観、経験によって培ってきた酒に関する知恵を、たかが100年に築かれた近代西洋医学が否定、払拭するのは難しいのではないか。
今回の痛風発作で痛い目に遭ったので、今週の土曜日には内科に通院するが、今後も薬酒としてのジンを大事に、慎重に用いたいと思う。なぜなら、蒸留酒は神の恩寵と人の知恵が作り出したスピリッツなのだから。