BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

木枯らしと紅茶

午前2時に目を覚める。スーツを着たまま寝ていた。身体が冷えている。不意に紅茶が飲みたくなった。近所のセブン・イレブンに出かける。道すがら神社の前では木枯らしが吹いていた。

セブン・イレブンでは私よりも若い、20代後半のメガネを掛けた女性が夜勤をしていた。深夜の眠たくなる時間なのに、ちゃんと挨拶をしてくれた。名札を見ると「チーフ」と書いてある。良い仕事ぶりだと思った。店を出ると、新聞配達が積荷を降ろして、すれ違いざまに店に入っていった。

薬缶で湯を沸かす。ティーバッグの袋を開けると、アールグレイのいい匂いがした。書斎で手巻煙草を吸いながら、紅茶を啜っていると、私はまだ生きられるのではないか、と思った。