Entries from 2020-07-01 to 1 month

対岸の灯

昨日は小雨が降っていたが、このまま家に居るのは嫌だったので、日没後、小岩駅に向かい、葛西臨海公園行きのバスに飛び乗った。 コロナ禍以後、バスに乗るのは初めてだが、当然、すべての乗客にマスクの着用を義務づけていた。マスクを付けていない人には運…

缶詰生活

最近は雨が続くから、あるいは単に遊ぶ金が尽きたのか、家にいる日が多い。"Stay home"あるいは"Go to travel"とは関係ない。私は命令されると逆のことをしたくなる質たちの人間である(そもそも非常事態とはいえ、人々はなぜ平然とこのような恣意的な命令に…

市場と僧院

今から9年前、私がまだ大学院生の時のことである。 修士論文を書き終え、卒業を控えている私に、先輩が餞はなむけの言葉をくれた。 「僕は僧院にしか生きられない人間だけど、兼子くんは賑やかな市場バザールで生きる人間なんじゃないかな」 彼は今では大学…

驟雨

今日は休日。正午過ぎに目を覚ます。ひさびさに長く、深く眠ったような気がする。先日の夜勤で睡眠相が崩れて以来、連日、半醒半睡で過ごしていた。睡眠不足になると、人は抑鬱的になる。平たく言うと、悲しく、怒りっぽくなる。自他問わず人を責めるように…

酒・女・文学

ヨハン・シュトラウス2世の円舞曲ワルツに「酒・女・歌」というものがある。私は若い頃、円舞曲はほとんど聴かなかった。もっぱら、交響曲ばかりで、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、ジャン・シベリウス、リヒャルト・シュトラウスなど、孤独、闘争、…

悪酒

酒が急に飲めなくなった。 飲んでもすぐに酔ってしまうし、それも大してうまくないのだ。身体、とりわけ肝臓がSOSを発しているのではないか。 普段、飲んでも顔が赤くならないので、自分は酒に強いものだと自認していたが、案外、脆弱なのではないか。……心当…

もう一度

「よし。この人生をもう一度!」フリードリヒ・ニーチェの有名な言葉だが、私は詳しい出所は知らない。おそらく、『ツァラトゥストラかく語りき』の永劫回帰の件くだりだと思うが、今、学問したい気持ちが高まっているので、学生のころ読んだまま放って置い…