BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

Entries from 2022-12-01 to 1 month

SpeakEasy

自宅がサロンのようになっている。今年の初めの頃だろうか、会社の総合職を降りて、個人事業主として独立した頃から、友達が家に遊びに来ることが増えた。だいたい酒を飲んだり、煙草をくゆらせて過ごすのだが、冗談の中にも真面目な会話があり、その一瞬の…

旗日を忘れし人

旗日のない生活をして久しい。キリスト教徒になって、クリスマスと正月は奪還したけど、他は以前として祝日の感覚がない。とまれ、私は先に「旗日」と書いたが、私は国家が恣意的に制定する祝日に対して関心がないので、この状態でも特に不都合はない。 政治…

枯草

今年、すべての力を使い果たした。あとは慣性で仕事をする。 来年、転職活動で好調なスタートを切れるように、今年中に仕込みをしておく。履歴書と職務経歴書はもちろん、転職サイトのポートフォーリオのメンテナンスもしておく。 転職先で重視するのは、年…

特権的瞬間

未だ低空飛行を続けている。申し訳程度に短歌は書いているし、作品のクオリティはそこそこ担保している。しかし、いかんせん生産高が少ない。これぐらいの作歌のペースだと、毎月結社誌に詠草を提出し、歌会に参加していると、すぐに顎が出る。今こそ歌人と…

クリスマス・イブ

日本でクリスマス・イブといえば、世間的には恋人あるいは家族と仲睦まじく過ごすとされているが、私にそのような習慣はない。幸いにして、私はキリスト教徒なので、教会に行き、キリストの生誕を祝うが、今年は喜びよりも哀しみの方が大きい。大部、自分勝…

フェミニスト

この頃、文体が崩壊しつつある。理由は何であれ、壊れれば、壊れるに任せればいいし、持ち直せればそれに越したことはない。しかし、大切なことは、まるでハミガキをするごとく毎日書き続けることである。そうすれば、自ずと、自分の才能に気づいて、案外、…

師走の候

コロナとの戦いで、長時間ストレスに曝されているせいか、同僚たちのお腹の調子が悪い。防護服を脱ぎ、下腹部を抱えてトイレに駆け込む姿が目立つ。私もなんだか胃がムカムカする。終業間際に上司の吉野さんが言った。「いつまでこれが続くんすかね」 365日…

rainer Widerspruch

我愛かなしめり。純粋な矛盾を生きている。こういう時は書くに限る。書いて、書いて、己の現存在を忘れること。 放擲していたルポルタージュを書き継ごう。作品の完成を心待ちにしている人は結構いる。下手でもいい。不完全でもいい。疑問、反論の余地を残さ…

来し方行く先

職場のコロナ禍はようやく落ち着いてきて、とりあえず私の配属されているフロアでは新規陽性者は出なくなった。ただし、他のフロアに飛び火しているので、感染が全館に拡大しないようにウイルスを封じ込める必要がある。今が正念場である。 昨夜は5時間くら…

HotLine

一昨日、昨日は本当によく電話をした日だった。まさしくホットラインと呼ぶにふさわしい、まるで私自身が受話器になったような感覚だった。コロナ禍のために実際に会えない事情があるが、通話時間は私達の活動が質量ともに増大している証左だと思いたい。 マ…

コロナ鬱

コロナ禍における鬱病、いわゆる、コロナ鬱について思う。 このブログは今まで明確に新型コロナウイルスの概念を使うことを避けてきたが、今回の事象はそれが原因であることは明らかなので、隠語等で包み隠さずに書きたい。 私は特別養護老人ホームで非常勤…

ポケットウイスキー

吉田満『戦艦大和ノ最期』に、士官たち、殊に若者たちが、戦闘前に絶望的な気持を少しでも持ち上げようとして、ポケットウイスキーを呷る場面がある。 英国海軍には士官がウイスキーとジンを嗜む伝統があるが、彼等を模範に創られた大日本帝国海軍にもこの伝…

デスマーチ

利用者の8割は陽性。職員は罹患してバタバタ斃れている。このような状況の中、私は生き残りの一人だが、私もいつ抗原検査で陽性になるかも知れない。いや、最後まで頑張れるかもしれない。ここまで来ると、自分は大丈夫、と意気ることはすべて無意味で、罹る…

横文字の概念

職場でクラスターが多発している。 私の勤務している特別養護老人ホームは相部屋の多床型なので、それぞれの利用者はカーテンで仕切られていても、トイレを共有している。そのためにウイルスが蔓延しているのではないか。いや、そもそも認知症の老人を相手に…

二片の砂糖

胃がムカムカする。飲酒禁止。会社からの帰りがけに、スティックシュガーとコーヒーフレッシュを購入し、ミルクコーヒーを拵える。美味しい。何杯でも飲める。やはり、コーヒーはブラックよりも、砂糖とミルクをたくさん入れた、かなり甘めのコーヒーが好き…

夢を見る眼

出版社で派遣社員をしていた頃のことである。書籍と雑誌の用紙を都合する部署で事務員をしていた。仕事柄、紙屋と印刷屋は常に取り引きがあった。紙の銘柄と本の部品の組み合わせにもよるが、仮に一万部の本を出版すると、何十万円、何百万円の用紙代が発生…

われ巷間にあり

異動してよかった。私が働いているのは低所得者向けの特別養護老人ホームだけど、新たに異動した職場は、それに以前働いていた有料老人ホームの最良の部分を繋ぎ合わせた感じだ。基本に忠実な丁寧なサービスをしている。新しい学びがある。職員の当たりは比…