135ml

「眠れないんですよ」 睡眠薬が効かなくて気落ちしている私に、先生は次のように言った。 「これぐらい小さな缶ビールがあるでしょう。あれを1本飲むといいんです。薬が程よくまわってきますから」 内科の先生だった。私に初めて睡眠薬を処方してくれた先生…

であることとすること

家の近くにセブンイレブンができた。読書と執筆に疲れた真夜中に酒を買いに行くと、アル中の前駆的症状ではないかと思われるけれども、そうして生命いのちと英気を養い、いくつもの夜を越えていると思うと、必ずしも悪い気はしない。 BOOKMANの月間PVが1000…

初めに行為ありき

「初めに行為おこないありき」と読む。ゲーテの『ファウスト』の一節だが、アナーキストの大杉栄も折に触れて言っていたような気がする。「行為おこない」と読むのは、文語訳『聖書』の慣例で、明治、大正の(耶蘇アレルギーのない)知識人は親炙していたと…

第二の夜

この頃は仕事でも肉体ではなく、神経ばかり使ってしまい、勤務が終わる頃には疲れ切ってぐうの音も出なくなってしまう。帰りの電車は本を読む気力はなく、京成線の椅子の背もたれに凭れ掛かってぐったりしている。帰宅後、薬を飲んだあと、3時間ばかり仮眠し…

破戒

結論から言おう。私が企業内ライターとして転職する可能性は99%ないだろう。昔、読売新聞系列のミニコミ紙の記者をやったことがあるけど、幼稚園の運動会や、自民党議員の取材をしたけれども、苦痛以外なにものでもなかった。当時、付き合っていた大学院生の…

市民社会を超えて

『山谷の基督』を書くために、思想(理論)的な背景を補強したくて、市民社会に関するテキストをいくつか読んでいる。 市民社会(civil society)は、国家(state)ないし政府(goverment)と区別される概念である。それは国家の支配の対象として管理統制さ…

あるいは上手く作られた不幸

ストレスが溜まると、むしょうに二郎系ラーメンを食べたくなる。幸いにして、竹ノ塚駅周辺には2軒の二郎の亜流の店舗があるので、いらいらのはけ口に困ることはない。しかし、「はけ口」と書いたが、吐くのではなく、むしろ食うことによって、胃に食物を溜め…

reine Nacht

早番の勤務つとめから帰宅したあと、21時まで仮眠を取る。その後、近くのコンビニに行き、煙草を買う。銘柄はPeace Lights.近頃は紙巻シガレットを辞めて、パイプ一本にしようとしていたが、私はすでに、あの手軽で、焦げ臭く、軽やかな煙の虜になっていた…

書いたもの勝ち

『山谷の基督』を書き始めた。取材した内容を書くというよりも、私が山谷のドヤに泊まり、酒場で飲み、教会で炊き出しをした経験を書くという感じだ。記者としては失格だが、文士としては合格だろう。この方向で書き続ければいい。 介護を本当に辞めたければ…

狭き門

湿度は高いが気持のいい朝。けれども、少々気の滅入る出来事があったので、呆然自失してコーヒーを飲んでいる。 訪問介護からは遅くとも年内に手を引こうと思う。10月からは施設の仕事も週5日に増やすし、忙しい合間を縫って、買物代行で小銭を稼ぐ必要はな…

働けども働けども

昨夜はバー1軒、スナック1軒をはしごした。愚行と言えばそれまでだが、たまにはこれぐらいの遊びをしてもいいだろう。むしろ、了見を拡げるためにするべきだと私は思う。私にこれしきの放蕩をためらわせる状況が異常なのだ。 私は今、貧困のスパイラルに陥っ…

下町の分断

約1ヶ月ぶりに山谷の炊き出しに行く。9時に現地に着くと、野菜の皮むきと切り込みはすでに終わっていた。今日は浅草聖ヨハネ教会の聖公会の信徒と、聖心女学院のOG、聖路加国際大学の看護学生がボランティアに来ていた。炊き出しの面白い所は、その活動の母…

Characters

我体調悪し。多分、酒の飲みすぎと睡眠不足のせいなり。明朝、山谷の炊き出しを取材するゆえに、今夜はすべからく酒を控えてすぐ寝るべし。 今日は訪問介護2件と精神科の受診があった。あとはだいたい布団に仰臥していた。机の前に坐った時は、Emacsの設定を…

Cafe Ombre

コーヒーの美味い季節になった。私は今では左党のように思われているが、もともとはコーヒー党である。秋の夜長にコーヒーを飲んでいると、次の歌の一節を思い出す。 やがて離れてゆくもの 忘れられてゆくもの 時がすべてを流してゆく 変わらぬなにかを求め…

紙つぶて

9月に入ってから毎日ブログを更新している。そのおかげで、少ないながらもアクセス数は伸びているのだが、9/12に「バックヤードの一角」をアップしたのを頂点にして、アクセス数が激減してしまった。私は別にこのブログで金稼ぎをしている訳ではないのだが、…

刺激と慰謝

なんとなく気分が晴れない、疲れて何もやる気がしない、そんな時、私はウイスキーを飲む。 酒、煙草、珈琲、茶、——あらゆる嗜好品に私は親和性があるのだが、左記の二者は大人になってから覚えたものである。それは単に二十はたちを越えてからという意味では…

バックヤードの一角

「出戻り、おめでとう!」 遅番の仕事終わりに、宮崎さんと会社近くのコンビニで乾杯した。私はビール、宮崎さんは第三のビールを片手に、柿の種をおつまみにした。 「君のこと待っていたんだよ。訪問介護もやっているんだって。やっぱり、君はアグレッシブ…

Konzept

近代都市の下層社会: 東京の職業紹介所をめぐる人々 (サピエンティア)作者:町田 祐一法政大学出版局Amazon 下層社会の定義を求めて、いろいろな書籍を漁っているけど、未だに厳密な定義が見つからない。そもそも横山源之助が『日本の下層社会』(1899年)を…

起死回生

『山谷の基督』は死して復活した。企画は無事に生きている。「急がなくていいですよ」と言われたけれども、今月、今年は本腰を入れて研究すること。あるいは来年、再来年の発表になるかもしれないが、諦めずに完成させよ。 ゼミで報告した草稿をもとに、原稿…

新しき人の矜持

汝らは既に舊き人とその行為とを脱ぎて、新しき人を著たればなり1。 『山谷の基督社会』のゼミでの報告が危ぶまれ始めた。確かに現在の私の実力では、学会報告に相応しい、仮説-実証-結論のような、科学的調査は望むべくもないが、粗削りながらも修道院と…

収容所群島

昨夜は突然の雷雨に叩き起こされたので、安心して眠ることができなかった。 そもそもよく眠れないのは今に限った話ではない。今年の1月に躁鬱病の基本薬をアリピプラゾール(エビリファイ)に切り替えてからは、ぐっすり眠れたことがほとんどない。入眠して3…

敵は市民社会

『山谷の基督キリスト社会』に苦戦している。カトリック修道院の炊き出しのルポに過ぎないのだが、全体の構成で理論的な所を重んじているので、そこで文献を渉猟して身動きができない状態になっている。8月はコロナのために現地を探訪できなかったことも大き…

明朗なる絶望

飛べない君は歩いていこう 絶望と出会えたら手をつなごう1 夕食後、ひと眠りしたら気分が良くなった。洗濯をした後に読書を少々。それからPCに向かう。 ライターないしWEBライターの正社員としての転職を考えているが、正直85%は無理だと思う。15%の希望のぞ…

酒徒と学徒

三酔人経綸問答 (光文社古典新訳文庫)作者:中江 兆民光文社Amazon 南海先生、性酷だ酒を嗜み、また酷だ政事を論ずることを好む。 『三酔人経綸問答』の作者、中江兆民はアルコール中毒を理由に国会議員を辞めたが、彼は晩年、喉頭癌に侵されるまで、終生、酒…

力と愛の社会学

学生の頃は政治学を専攻していたので、権力とその最大の機関である国家については自ずと勉強していた。しかし、学校を出て、労働者1として、その日稼いだパンをそのまま口に運ぶような生活を続けていると、国家よりもむしろ、それが統治する社会の方に鋭く関…

トマス・ホッブズと碇シンジ

職務経歴書を見返していると、その頃、自分が何に苦しんでいたのかをまざまざと思い出す。トラウマは人間の苦痛や苦悩、あるいは恐怖が痼疾となって、現存在そのひとの思考と行動の障害になることであるが、してみると、人間は嬉しいこと、楽しいことよりも…

フォースターの場合

賃労働アルバイトの賃金が10円上がった。経営側の意向が反映されたらしいが、正直、この程度では何も変わらない。私の時給は13∗∗円のまま据え置きである。副収入を含めると月収手取り20万を越えるが、三十代男性の収入としては悲惨である。事業ビジネスと清…

反省と経験

昨夜、酒を飲むこと、煙草を吸うことについて、バーテンダーにつべこべ言われたが、一夜明けた今になってみれば、どうでもいいことのように思える。他人にどうこう断裁されたくなければ、家でやればいい、ただそれだけのこと。これだから外は疲れる。こんな…

文士と介護福祉士

友達の結婚式のスピーチを担当したら、望外の原稿料を貰った。友達、それも慶事に託ことづけて仕事を貰うなんて卑怯じゃないかと思われるかもしれないが、駆け出しの頃に友達から仕事を貰うのはむしろ光栄なことなので、有難く事業所得として計上した。世の…

モノクロの夢

経済的な理由から、今の職場で週5日で働くのは私の希望だが、先方(会社)の方は常勤(総合職)を提示してきている。有難い話だが、さすがにそれは後退というべきだろう。常勤になれば住宅手当もボーナスも貰えるが、読んで字のごとく、すべての時間帯で働く…