BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

ノートと万年筆

会社の仕事はそこそこ忙しいし(この頃は残業をするようになった)、教会の活動も夏に向けて本格化し始めた。私生活プライベートもそこそこに充実している。しかし、何かが足りない。——文学だ。

学問と芸術の二つの要素を兼ね備えた真剣な遊びを、私は新聞記者になってから(というより、サラリーマンになってから)、ぴたりと辞めてしまった。以前は短歌やルポルタージュを書いていたが、この頃は無味乾燥な新聞記事しか書いていない。それでも時々佳作が書けるが、遊ぶことを忘れた大人は魅力が少ないだろう。

この頃はサラリーマン根性が染みついて、時々、目が死んでいるが、これではいけない。私は文学を再開して、真実に対して目と耳を開くべきなのだ。そのためにはどうすればいいか。最寄りの文房具屋からA5判のノートを数冊かってきて、小説を書くのである。単に書くだけならば、テキストエディタの方が効率的だが、私は万年筆で文字を書くのが好きなので、あえてペンとノートの組み合わせで行きたい。
(原稿用紙に手書した後、タイプライターで清書する手法は、ヴァージニア・ウルフやヘミングウェイが採用している)

サラリーマンよりもフリーランス(フリーター)の生活様式の方が書きやすければ、躊躇なく、それに移行すればいい。いずれにせよ、今は書くことである。