BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

Entries from 2022-01-01 to 1 month

Journalist contra Documentalist

川端康成は短編集『愛する人達』の中の一篇で、「吹けば飛ぶような雑誌記者」という旨の文章を書いた。実は一言一句、正確に覚えていないので、この引用は正しくないかもしれないが、とにかく、雑誌記者を蔑なみするような描写をしている。その主体〈私〉は…

A midnight summer of Kitasenju 2019

北千住駅西口。午前2時。私は歩道橋の手すりに凭れ掛かりながら、マッチでHOPEに火を着けて一服した。煙草とそれに加味された香料の華やかな風味が口の中に拡がる。太巻の力強い紫煙の行方を目で追いながら、私は首都 東京の静寂と喧騒を聞いていた。レム睡…

訪問介護士の群像

今日は訪問介護の初出勤。 新鮮だった。まだ介護を続けてもいいと思った。 自分へのご褒美——昼食にココイチのポークカレー(ライス500g)を頂く。 tabelog.com 腹ごなしに小岩駅前を散歩。書店に立ち寄り、講談社の文芸誌『群像』を購入する。 群像 2022年 0…

棄民社会

実家に帰省して以来、気持が沈んでいる。 今朝、教会の聖餐式に参列しようとしたが、寒気と宿酔のために見送ることにした。否、本当のところは、新型コロナの感染を心配して遠慮したのだと思う。全国のこの感染状況だと、当分、教会に礼拝できない日々が続く…

福祉政治学

コタツ 鴻巣の実家に帰省している。 実家にはコタツがある。読書をしようと試みるが、慣れない正坐で、あるいはお姉さん坐りで、たちまち脚が痛くなる(体重が増えたことも一因だろう)。仕方なく寝そべって作業をするが、体幹から爪先まで快適な温度なので…

ホームとサロン

今日、2年ぶりに帰郷する。私の生家は埼玉県春日部市のアパートの一室だが、齢5歳くらいの、ものごころが付かないうちに、同県鴻巣市のある戸建に引っ越した。以後、25歳の時に、就職にともない一人、所沢市に転入したことで、鴻巣市の家は私にとって実家と…

ビールと年の功

「雨が降ってきましたね」 訪問先の仕事を終えて事務所に戻ってきた、中年の女性介護士がガラス張りの玄関を開けて言った。 私は雇用契約書にサインをしながら、彼女の声を聞いていた。その日の正午、私は月末に就業を始める訪問介護事業所で、入社の手続き…

マルチタスクのススメ

ライティングの仕事を1件、納品した。 予想以上に時間がかかったが、一つの記事を書くのに、複数の書籍を調べたり、普段、手紙を書く以外は使わない「です、ます」調で、他人にも分かるように、物事の概要を丁寧に説明することに労力を費やした。金銭を稼ぐ…

MADE IN CZECH REPUBLIC

今、目の前に小道具がある。「コンパニオン」と呼ばれる、パイプの煙草を押し付けたり、掻き出したり、パイプに付着した炭カーボンを削り取るのに使うのだが、その本体に次の文字が刻印されている。 MADE IN CZECH REPUBLIC 単に「チェコ共和国製」の意味な…

個人事業主 T.K.

今日、葛飾税務署に開業届を提出した。 書類は国税庁のウェブサイトで編集できるので、パソコンで各項目に記入し、印刷して完成。印鑑も自筆のサインも必要ない、意外に簡単に書けてしまった。内容は次のとおり。 職業:文士 事業の概要:文筆業。書籍、雑誌…

半世界

夜勤2日目終了。 初日は元旦に入ったので、今年の三が日は介護という因果な商売の思い出でイッパイである1。 今年から今務めている会社との雇用契約が、総合職から一般職、要するに常勤から非常勤に変わるので、今後は夜勤を担当することはほぼないと思うが…

ポジとネガ

著者の仕事を初めて知ったのは、マイケル・ウォルツァー『寛容について』の訳業を通してである。 寛容について 新装版作者:マイケル・ウォルツァーみすず書房Amazon 学術書なので、商業的に成功するのは難しいのに、その思想家の核心に迫る作品を地道に翻訳…