Entries from 2022-09-01 to 1 month

であることとすること

家の近くにセブンイレブンができた。読書と執筆に疲れた真夜中に酒を買いに行くと、アル中の前駆的症状ではないかと思われるけれども、そうして生命いのちと英気を養い、いくつもの夜を越えていると思うと、必ずしも悪い気はしない。 BOOKMANの月間PVが1000…

初めに行為ありき

「初めに行為おこないありき」と読む。ゲーテの『ファウスト』の一節だが、アナーキストの大杉栄も折に触れて言っていたような気がする。「行為おこない」と読むのは、文語訳『聖書』の慣例で、明治、大正の(耶蘇アレルギーのない)知識人は親炙していたと…

第二の夜

この頃は仕事でも肉体ではなく、神経ばかり使ってしまい、勤務が終わる頃には疲れ切ってぐうの音も出なくなってしまう。帰りの電車は本を読む気力はなく、京成線の椅子の背もたれに凭れ掛かってぐったりしている。帰宅後、薬を飲んだあと、3時間ばかり仮眠し…

破戒

結論から言おう。私が企業内ライターとして転職する可能性は99%ないだろう。昔、読売新聞系列のミニコミ紙の記者をやったことがあるけど、幼稚園の運動会や、自民党議員の取材をしたけれども、苦痛以外なにものでもなかった。当時、付き合っていた大学院生の…

市民社会を超えて

『山谷の基督』を書くために、思想(理論)的な背景を補強したくて、市民社会に関するテキストをいくつか読んでいる。 市民社会(civil society)は、国家(state)ないし政府(goverment)と区別される概念である。それは国家の支配の対象として管理統制さ…

あるいは上手く作られた不幸

ストレスが溜まると、むしょうに二郎系ラーメンを食べたくなる。幸いにして、竹ノ塚駅周辺には2軒の二郎の亜流の店舗があるので、いらいらのはけ口に困ることはない。しかし、「はけ口」と書いたが、吐くのではなく、むしろ食うことによって、胃に食物を溜め…

reine Nacht

早番の勤務つとめから帰宅したあと、21時まで仮眠を取る。その後、近くのコンビニに行き、煙草を買う。銘柄はPeace Lights.近頃は紙巻シガレットを辞めて、パイプ一本にしようとしていたが、私はすでに、あの手軽で、焦げ臭く、軽やかな煙の虜になっていた…

書いたもの勝ち

『山谷の基督』を書き始めた。取材した内容を書くというよりも、私が山谷のドヤに泊まり、酒場で飲み、教会で炊き出しをした経験を書くという感じだ。記者としては失格だが、文士としては合格だろう。この方向で書き続ければいい。 介護を本当に辞めたければ…

狭き門

湿度は高いが気持のいい朝。けれども、少々気の滅入る出来事があったので、呆然自失してコーヒーを飲んでいる。 訪問介護からは遅くとも年内に手を引こうと思う。10月からは施設の仕事も週5日に増やすし、忙しい合間を縫って、買物代行で小銭を稼ぐ必要はな…

働けども働けども

昨夜はバー1軒、スナック1軒をはしごした。愚行と言えばそれまでだが、たまにはこれぐらいの遊びをしてもいいだろう。むしろ、了見を拡げるためにするべきだと私は思う。私にこれしきの放蕩をためらわせる状況が異常なのだ。 私は今、貧困のスパイラルに陥っ…

下町の分断

約1ヶ月ぶりに山谷の炊き出しに行く。9時に現地に着くと、野菜の皮むきと切り込みはすでに終わっていた。今日は浅草聖ヨハネ教会の聖公会の信徒と、聖心女学院のOG、聖路加国際大学の看護学生がボランティアに来ていた。炊き出しの面白い所は、その活動の母…

Characters

我体調悪し。多分、酒の飲みすぎと睡眠不足のせいなり。明朝、山谷の炊き出しを取材するゆえに、今夜はすべからく酒を控えてすぐ寝るべし。 今日は訪問介護2件と精神科の受診があった。あとはだいたい布団に仰臥していた。机の前に坐った時は、Emacsの設定を…

Cafe Ombre

コーヒーの美味い季節になった。私は今では左党のように思われているが、もともとはコーヒー党である。秋の夜長にコーヒーを飲んでいると、次の歌の一節を思い出す。 やがて離れてゆくもの 忘れられてゆくもの 時がすべてを流してゆく 変わらぬなにかを求め…

紙つぶて

9月に入ってから毎日ブログを更新している。そのおかげで、少ないながらもアクセス数は伸びているのだが、9/12に「バックヤードの一角」をアップしたのを頂点にして、アクセス数が激減してしまった。私は別にこのブログで金稼ぎをしている訳ではないのだが、…

刺激と慰謝

なんとなく気分が晴れない、疲れて何もやる気がしない、そんな時、私はウイスキーを飲む。 酒、煙草、珈琲、茶、——あらゆる嗜好品に私は親和性があるのだが、左記の二者は大人になってから覚えたものである。それは単に二十はたちを越えてからという意味では…

バックヤードの一角

「出戻り、おめでとう!」 遅番の仕事終わりに、宮崎さんと会社近くのコンビニで乾杯した。私はビール、宮崎さんは第三のビールを片手に、柿の種をおつまみにした。 「君のこと待っていたんだよ。訪問介護もやっているんだって。やっぱり、君はアグレッシブ…

Konzept

近代都市の下層社会: 東京の職業紹介所をめぐる人々 (サピエンティア)作者:町田 祐一法政大学出版局Amazon 下層社会の定義を求めて、いろいろな書籍を漁っているけど、未だに厳密な定義が見つからない。そもそも横山源之助が『日本の下層社会』(1899年)を…

起死回生

『山谷の基督』は死して復活した。企画は無事に生きている。「急がなくていいですよ」と言われたけれども、今月、今年は本腰を入れて研究すること。あるいは来年、再来年の発表になるかもしれないが、諦めずに完成させよ。 ゼミで報告した草稿をもとに、原稿…

新しき人の矜持

汝らは既に舊き人とその行為とを脱ぎて、新しき人を著たればなり1。 『山谷の基督社会』のゼミでの報告が危ぶまれ始めた。確かに現在の私の実力では、学会報告に相応しい、仮説-実証-結論のような、科学的調査は望むべくもないが、粗削りながらも修道院と…

収容所群島

昨夜は突然の雷雨に叩き起こされたので、安心して眠ることができなかった。 そもそもよく眠れないのは今に限った話ではない。今年の1月に躁鬱病の基本薬をアリピプラゾール(エビリファイ)に切り替えてからは、ぐっすり眠れたことがほとんどない。入眠して3…

敵は市民社会

『山谷の基督キリスト社会』に苦戦している。カトリック修道院の炊き出しのルポに過ぎないのだが、全体の構成で理論的な所を重んじているので、そこで文献を渉猟して身動きができない状態になっている。8月はコロナのために現地を探訪できなかったことも大き…

明朗なる絶望

飛べない君は歩いていこう 絶望と出会えたら手をつなごう1 夕食後、ひと眠りしたら気分が良くなった。洗濯をした後に読書を少々。それからPCに向かう。 ライターないしWEBライターの正社員としての転職を考えているが、正直85%は無理だと思う。15%の希望のぞ…

酒徒と学徒

三酔人経綸問答 (光文社古典新訳文庫)作者:中江 兆民光文社Amazon 南海先生、性酷だ酒を嗜み、また酷だ政事を論ずることを好む。 『三酔人経綸問答』の作者、中江兆民はアルコール中毒を理由に国会議員を辞めたが、彼は晩年、喉頭癌に侵されるまで、終生、酒…

力と愛の社会学

学生の頃は政治学を専攻していたので、権力とその最大の機関である国家については自ずと勉強していた。しかし、学校を出て、労働者1として、その日稼いだパンをそのまま口に運ぶような生活を続けていると、国家よりもむしろ、それが統治する社会の方に鋭く関…

トマス・ホッブズと碇シンジ

職務経歴書を見返していると、その頃、自分が何に苦しんでいたのかをまざまざと思い出す。トラウマは人間の苦痛や苦悩、あるいは恐怖が痼疾となって、現存在そのひとの思考と行動の障害になることであるが、してみると、人間は嬉しいこと、楽しいことよりも…

フォースターの場合

賃労働アルバイトの賃金が10円上がった。経営側の意向が反映されたらしいが、正直、この程度では何も変わらない。私の時給は13∗∗円のまま据え置きである。副収入を含めると月収手取り20万を越えるが、三十代男性の収入としては悲惨である。事業ビジネスと清…