reine Nacht

早番の勤務つとめから帰宅したあと、21時まで仮眠を取る。その後、近くのコンビニに行き、煙草を買う。銘柄はPeace Lights.近頃は紙巻シガレットを辞めて、パイプ一本にしようとしていたが、私はすでに、あの手軽で、焦げ臭く、軽やかな煙の虜になっていたのだ。Zippoのパイプ用オイルライターで火を着ける。デスクライトが煌々と光る4畳半の暗室に、甘き苦き煙が悠々と流れていく。脈拍が上がる。戦闘開始。私は紙巻と和解した。

夜勤を辞めたというのに、私がライターとして仕事と勉強をする時間は日没後と日出前に集中している気がする。実の私は夜という時間が心底好きなのかもしれない。昼間、家に居る時も、雨戸を閉め切って、読書をしていることが多い。目に悪いじゃないか、あるいは鬱病の症状の一つではないか、と言われたりもするが、その方が安心、集中できるのだ。思えば、私は平和な夜を奪還するために会社の夜勤を辞めたのではないだろうか。己の純粋な時間を獲得すること。それもまた、真実の自分に還る方法のひとつである。すると、私は相当狷介な性格の持主なのかもしれないが、本当の自分なんて、案外そんなものである。