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朝4時。虫の音が聞こえる。秋の気配がする。サラリーマンになってから、生活リズムがすっかり朝方になった。学生の頃と同じ、否、それよりも規則正しいと言えるだろう。介護で夜勤をしていた頃、また、それに乗じて、時々夜遊びをしていた時分がいかに本来の生活から外れていたことが分かる。もともと私は杓子定規のように生活規範を遵守する人間なのだ。今後、私は夜勤をしないし、変則シフト勤務もしないだろう(ただし、作品のネタ作りのためにたまに経験するのもいいだろう)。

新聞記者ジャーナリストに転身したのを機に、このような気軽な小品を書く小説家ライターとしての筆力が衰えている。制約は多かったが、介護をしながら、『山谷の基督』を書いていた頃は自分でも必死で、いま読み返しても文章に力があると思う。キリスト教を通じて、私は神の道に立ち返ったように、今度は文学を通じて、私は人々の道に立ち返らなければならない。それは極度の人間好きと人間嫌いが同居した矛盾した精神を内蔵している。片方に振れるのではなく、中道ヴィア・メディアを歩み通したい。