BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

The Matter is Pride

昨夜は遅番。軽微なミスが1件。体力はあるが、力がない。要するにやる気がないのだ。介護の仕事に対してモチベーションが起こらない。利用者からの大衆的な人気を博しているが、それは介護とは別の現象である。

持病を含めて様々な理由で、介護の仕事から徐々に離れているが、事の本質は至極単純である。老人介護に対して私の自尊心プライドが許さないのだ。あえて汚い言葉を使おう。徹夜で何人、何十人の老人のケツを拭き続ける作業に、己の自尊心を傷つけられぬ者などいない。入社1年目の夜勤、午前3時に排泄の仕事をしながら、私はこう考えたものだ。「私はこんなことをするために生れて来たのではない。私を産んでくれた父と母に済まないことをしている」と。

だから、高卒で介護施設に就職しても、すぐに辞めてしまう若者を私は非難しない。むしろ、心中、密かに応援しているくらいだ。人は若くして、人間とその社会の悪を目の当たりにするべきではない。誰もみずから悪に手を染める必要はないのだ。

福祉という美名のもとにたくさんの罪を犯せり弱き吾人は