BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

悪徳

昨夜、ラーメンとギョウザを食べた後、身体に負担が掛かる料理を食したので、お腹の調子が悪い。鮮度も100点満点とは言えなかったし、夏場はやはり気をつけた方がいいようだ。

しかし、思う。どうして人間はしてはいけないことをし、しなくてはいけないことをしないのだろうか。ヨクナイ結果が起こるのは分かり切っているのに、悪徳に耽っている間はそれに没頭して、良心の疚しさ、後ろめたさを忘れようとする。そして、後に後悔する。

放蕩、姦淫など一般的に人間社会でイケナイとされていることは、こういう心理で行われているのだと思う。今さえ良ければいい、という刹那的な心理で褒められたものではないが、実はこれが人間の行動の9割以上を規定しているのではないか。人間、誰もが今日生きることで精一杯なのである。「この故に明日のことを思ひ煩ふな、明日は明日みづから思ひ煩はん。一日の苦労は一日にて足れり1」。

こういう人間の罪深さを分かるようになったということは、私も38年の人生でひととおり遊んだということである。この洞察をもとにして、小説を書けないかしら。やはり、経験なくして小説は書けないし、ただの善人には小説は書けないのである。


  1. マタイ6:34。