BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

活字と組版

午前1時に起きる。珈琲を飲む。私にとって珈琲は仕事と勉強のために仕方なく飲むものである。学生の頃は朝から晩まで珈琲を飲み、それで何の支障もなかったが、社会人になり、ストレスで不眠がちになると、夜、珈琲を飲む習慣は失われてしまった。本当は酒よりも珈琲を飲んだ方が、生産性が桁違いに上がるに決まっているが、ナイトキャップのウイスキーの味を占めて以来、いまでは専ら酒徒である。

しかし、不眠もここまで嵩じると、夜に珈琲を飲んでも眠れるのではないか、という気がしてくる。痛風にも良いし、私はもっと珈琲を飲むべきなのかもしれない。

教会で神学博士に『レンガと蔦』の組版を褒められる。「きれいになりましたよね。いったい何のソフトを使っているのですか?」

先方はInDesignを想像していたようだが、私が「LibreOffice Writer」と答えると驚愕していた。「ええ、無料じゃないですか。禁則処理とか大丈夫なんですか?」

私はその点は問題ないこと、ルビのレイアウトに少々難があるだけで、あとは普通に使えることを申し上げた。「私は実はGUIでポチポチやるのは好きじゃないんですよ。本領は \LaTeXなどのマークアップ言語にあります」

太初はじめことばあり1。私は言葉が活字(紙とインク)になることを受肉と呼んでいる。きれいに組版された活字は極めて善いのである。


  1. 『ヨハネ傳福音書』1:1。