BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

維持療法

一時期、頓服にしていた抗精神病薬ジプレキサ(オランザピン)を、今週は毎日、眠前に飲んでいる。1T 2.5mgである。躁鬱病の治療としては容量が少ないから、一応、寛解し、予防のための維持療法に移ったと言うべきだろう。以前、症状のひどい時はジプレキサに加えて、同じ抗精神病薬セロクエル(クエチアピン)、睡眠薬マイスリーゾルピデム)をカクテルにして飲んでいたのだから、より安全で、より安価な単剤処方に移ったことを喜びたい。

先日、精神科薬は頓用にします、と宣言したのに、また常用に戻すのはどういう心変わりだろうか。後退しているではないか、とこのブログの読者諸氏は思われるのではないだろうか。

理由は単純である。眠れないから。私の不眠は純粋に躁鬱病の症状の一つではなくて、多分にアルコールが原因だと思うが、眠れなくなると必要以上に深酒することになる。しかも、そこそこ飲める体質だから(私は酒を飲んでも顔は赤くならない)、徐々にアルコール依存症に近づく感覚があった。過度の飲酒は不眠、抑鬱、躁鬱など、躁鬱病の症状を悪化させる(それなら酒を止めればいいじゃないか、と言われるかもしれないが、そこが酒飲みドリンカーの業なのである)。定期的に薬を飲んでいない私は負のスパイラルに陥ったのだった。

しかし、薬を飲むとどうだろう。寝れるわ、眠れるわ、12時間くらい眠れる。目覚まし時計を二つ掛けても寝過ごして、危うく会社に遅刻しそうになったくらいだ。抗精神病薬コントミンクロルプロマジン)が開発された頃から、鎮静、催眠作用が強いので、睡眠薬の代わりとしても使われている(精神病院などの施設では、この作用・副作用を利用して、不穏な患者を大人しくさせるための治療薬として使われている)。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と違って、精神的、肉体的に、耐性、依存性が少ないから、維持療法に向いているのである(ただし、パーキンソン症状には気を付けなければならない)。