天使の分け前

普段、鞄に入れている聖書の痛みが激しくなってきたので、他の版に交代することにした。私は文語訳聖書を愛読しているが、2年間、鞄に入れて、電車の中、あるいは会社の休憩中に読んできた。しかし、鞄ごと雨に打たれることもあり、表紙や本文が所々破れてしまった1

なので、今まで愛用していた文語訳聖書は書斎のデスクまたはテーブルに置き、鞄には日本国際ギデオン協会訳の新約聖書を忍ばせることにした。これは協会が翻訳・発行している無料の聖書で、神田キリスト教会を通じて頂いたものだ。無料だと侮るなかれ。私はこの訳業を通じて、15年の中断を経て、再び聖書に、キリスト教に立ち帰ることができたのである。思えば、18歳の時に読んだ日英対訳聖書も、ギデオン協会の版であった。

深夜、聖書を読んでいると、私の蔵書はこれだけで善いのではないか、と思える。あとは数冊の辞書、技術書、文学書があれば十分で、私の孤独は神の御言葉で満たされているのだ。あとは天使の分け前(ウイスキー)があるとなお良い。


  1. セロハンテープで補修しながら使っている。