デスマーチ

利用者の8割は陽性。職員は罹患してバタバタ斃れている。このような状況の中、私は生き残りの一人だが、私もいつ抗原検査で陽性になるかも知れない。いや、最後まで頑張れるかもしれない。ここまで来ると、自分は大丈夫、と意気ることはすべて無意味で、罹るときは罹る、駄目になるときは駄目になるのである。就業中、私達は常に防具服で身を堅めているので、発汗、疲労、ストレスが半端ない。感染症に対応するために通常とは違う動きをしていることも大きい。学生の頃、ジョルジュ・ソレルに倣って、日常/非日常の妙な理論を組み立てていたが、まさか三十代半ばの中年において、ここまで非日常を満喫できるとは思わなかった。防護服を脱いで、施設の外に出ると、本当に娑婆の世界が広がっているのだ。今回の疫禍の第8波で、私は介護福祉士としての生命を全うするだろう。

Krankeの病を得たる人々の名前を見詰む次は我なり