BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

缶詰生活

最近は雨が続くから、あるいは単に遊ぶ金が尽きたのか、家にいる日が多い。"Stay home"あるいは"Go to travel"とは関係ない。私は命令されると逆のことをしたくなるたちの人間である(そもそも非常事態とはいえ、人々はなぜ平然とこのような恣意的な命令に服従しているのだろうか)。

私はウイスキー党である。しかし、人並みに、あるいはそれ以上にビールが好きである。仕事の終わりにイッパイ。会社の帰りにイッパイ。酒を飲む前にイッパイ(すべて500ml缶)。アルコール度数5%だからといって、なめているとアル中になるので気をつけないといけない(すでにその徴候はあるのかもしれない)。

主食の代わりにビールを飲むことがある。私は普段、飯は飯、酒は酒、と、食うこと、飲むことに専念するので、酒に肴はいらないのだが(居酒屋よりも酒場バーを好むのはこのためかもしれない)。その時はビールは「主食」なので、肴が欲しくなる。白米だけを食べ続けるのは難しいのと同じ理屈である。

好物の肴はオイルサーディン。普通はパスタなど料理の材料に使われるが、そのまま食べてもおいしい。塩味は控え目なので、ビールの味をそこなわない。先日、手にしたのは「オイルシャアディン」という「赤い彗星」とのコラボ仕様で、大衆社会に復讐を目論む私は嬉しくなった。

雨は降り続く。雨の日の茶店カフェの窓から見える街の景色に私は激しいポエジーを抱くが、この原稿を書いている葛飾区鎌倉の私の家は鄙びた寒村にある。その景色もまたよい。雨をいかにやり過ごすか。私には本と酒が必要だ。