立共合作

一昨日、4日、東京都都議会選挙が開票された。私の住んでいる葛飾区の当選者は次のとおり。

私は今回の選挙が公示された時点で、どの政党にも、どの候補者にも、投票したくなかった。「支持政党なし」が私の正直な気持ちだった。夜勤明けで疲れているし、投票しないのも市民の意志を示す、積極的な政治行動のひとつかな、という考えが一瞬、頭をよぎった。しかし、待てよ。そんな安易な、日和見な考えが自公政権を野放しにしているんだ。公明党はともかく、自民党無党派層は自分たちの味方だと思い違いをしている。その傲慢な臆見を吹き飛ばしてやろう。奴等の権力を削ぐために、今、何ができるか? そうだ、投票に行こう。2日、私は金町地区センターで期日前投票を済ませた。

先日のブログに書いたように、私は日本共産党の和泉尚美氏に投票した。氏は無事に3期連続で当選したのだから、私の1票は死票になることを免れた訳だ。私の1票は無駄じゃなかった。この感覚は大切である。

しかし、得票1位は公明党の北口剛士氏。葛飾区における公明党創価学会の地盤の強さを窺わせる。そのほとんどが同会の組織票だと思うが(公明党の支持者の同党への投票率は85.1%だが、無党派層の同党への投票率は6.2%しかない1)、しかし、ここまで政局を動かしている様を目の当たりにすると、一定の大衆的基盤があるのではないかと思う。しかし、私は公明党創価学会をぜんぜん評価していない。宗教政党のくせにイデオロギーが貧弱なので、権力にしがみつくために節操のない行動をとる。前回2017年の都議会選挙では落ち目の自民党を見限って、都民ファーストに付いた。今回の選挙では逆に自民党に付いた。国政ではどう出るか分からない。「わが日本、いにしえより今にいたるまで哲学なし2」という、中江兆民の指摘がそのまま当てはまる。これは自由民主党にも立憲民主党にも言えることだ。

一方、日本共産党は近年、無党派層の一定の受皿になっているらしい。今回の選挙で無党派層の24.9%は都民ファーストを支持したが、次の17.6%は共産党を支持したらしい。これは自民党支持の14.5%を上回る3。近年、国際政治において、アメリカ、ヨーロッパなどの自由主義陣営と、中国を中心とする共産主義陣営が対立を深めているが、それでも、日本国内において、共産党ないし共産主義に対して共感する層が一定数存在する。今、ここで科学的な統計を挙げることはできないが、日本社会の、特に若年層の貧困が深刻化して、それで共産主義にシンパシーを感じる世代が醸成されているのかもしれない。現にこのブログを書いている私が貧困の渦中にあり、思想的に、イデオロギー的に一貫している、社会民主党日本共産党を支持している。やはり、私は左翼なのかもしれない。

都議会選挙後、立憲民主党・代表の枝野幸男氏は「共産党との連立政権は考えていない」と話した。立憲民主党ブルジョア政党の見栄をかなぐり捨てて、日本共産党に、就中、プロレタリア階級に歩み寄ってほしい。野党連立政権を見たいのは私だけではないはずだ。


  1. 共同通信社出口調査。『毎日新聞』2021年7月5日、朝刊、2面。

  2. 中江兆民『一年有半』中央公論社、1970年、378頁。

  3. 同じく共同通信社出口調査。『毎日新聞』2021年7月5日、朝刊、2面。