BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

煙草と平和

バー、あるいは自宅でパイプ煙草を吸っていると驚かれることがあるが、私は普通に紙巻煙草も吸うし、何だったら、手巻煙草も吸うのである。

先に挙げた中で、たとえ世人の反対を受けても、どれを続けるかと問われたら、絶対にパイプである。一度に吸った時の満足感があるし、深夜、書斎で吸っていて、その煙の行き先を眺めているとほっこりしてくる。一回吸えば満足するし、毎日吸わなくても楽しめる。アロマのような効果もあって、部屋中にパイプ煙草の煙を満たして、眠りに就くと、よく眠れるような気がする。

既成のマシンメイドの紙巻煙草はそれなりに美味しい。パイプ党あるいはシガー党には、紙巻煙草の「紙」が臭いと訴えて、敬遠する人がいるが、私は嫌いではない。紙臭さは香ばしさでもある。これも深夜の書斎で吸っていると、ほっこりしてくる。ちょっとした息抜きには最適である。特にPeaceという煙草の銘柄は、煙草の本質を、煙草を吸う人の心を表していて、私は好きである。パッケージの鳩の意匠も、キリスト教徒の私には好印象である。

手巻煙草は去年、本格的に始めた。手巻といっても、私は専用のローラーで巻く。巻くこと自体はすでにお手の物だが、まだ私の生活の一部になっていない印象である。好みの銘柄もまだ見つかっていない。しかし、今後、マシンメイドの紙巻煙草が値上がりする一方なので、コストパフォーマンスが遥かに良い手巻煙草を覚えておくのは理に適っていると思われる。戦中、戦後、手巻煙草は流行ったと聞く。煙草の流通、配給が滞り、人々は皆、シケモクを掻き集めて煙草を吸っていたからだ。おそらく、私達はその時代に還るのではないだろうか。