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TAKASHI KANEKO

運転免許の更新

先日、運転免許の更新のために、竹の塚警察署に行ってきた。夜勤明けの髭面なので、悪人面に見えるけれども、更新期限が迫っているので、躊躇してはいられない。平日の朝は人もまばらだった。

窓口で手数料3,000円を払い、古い免許証をパンチしてもらう。視力検査を受ける、問題はない。新しい顔写真を撮るので、髪型を整える。もう4ヶ月くらい床屋に行っていないが、ワックスで整えているので、見苦しくないと思いたい。写真師のおじさんの指示にしたがって、カメラを注視する。パシャ。

そのあと、講習を30分間受ける。何か考えごとをしていたので、横断歩道の前で歩行者が待っているときは一時停止をしましょう、轢いた場合はドライバーの過失責任になりますよ、という内容以外覚えていない。

帰りに新しい免許証を受け取る。顔写真を見る。イケメンではないが、悪くはないではないか。髭がうっすらと生えているが、左右に几帳面に分けた長髪と程よく合っている。知識人のユニフォームである、黒のタートルネックとの相性も見事である。古い免許証と見くらべる。5年前の私。まだ、おこちゃまだった。所沢で一人暮らしを始めていたが、まだ、人間も、社会も知らなかった。新しい免許証の私の表情は厳しい。社会で辛酸を嘗めてきたので、不敵な野心、反抗心をたたえている。大人の男の顔である。私はこの5年間の道程は間違えではなかったのだ、と確信して、安心して家路についたのだった。