深夜営業

私の職場ではシフトが4つに分かれている。7早(7:00-16:00)、日勤(9:00-18:00)、11遅(11:00-20:00)、13遅(13:00-22:00)、夜勤(22:00-7:00)。私はゆっくり朝寝ができる13遅が好きなのだが、勤務後に同僚と落ち着いて飲み、食い、語ることができないのが残念である。アッと言うまに終電が来てしまうからである。

非常事態宣言の後は辛かった。そして、13遅の日はもっと辛かった。22時30分に会社(施設)を出ても、居酒屋はもちろん、あらゆる飲食店が20時に閉めてしまうので、外食を習慣にしている私は行く当てを失ってしまった。その気になれば自炊もできるが、0時を過ぎて、空きっ腹を抱えながら、米が焚くのを待つのは本当に侘しい。

私は試みに北千住で途中下車した。時刻はとうに23時を過ぎている。商店街「サンロード」のほとんどの店が閉まっていた。照明は落ち、シャッター街がどこまでも続いていく……北千住は淋しい街になってしまった。

しかし、その店は開いていたのだ。北海道ラーメン「みそ熊」である。

エネルギー効率を度外視した白熱電球の照明に、私は篝火に魅せられる魚のように吸い寄せられた。券売機に1000円札を挿入し、辛味噌ラーメンを注文する。もちろん大盛り。無料である。

「はふはふ」言いながら麺をすする。春にも関わらず外は寒かったのだ。味の濃い、醤油味のメンマが舌を楽しませる。細かく立方体に刻まれたチャーシューの触感が珍しい。鼻水を垂らしながら夢中になって食す。

あと30分で日付が変わる。流行はやりのリモートワークとは無縁、現場に直行し、足で稼がなければならない私にとって、この時間に店を開けてくれた、店主、従業員の心づかいが優しい。嬉しい。食の街、酒の街。労働の街。私の北千住の思い出である。

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