読書と仮眠

0時頃に目を覚ます。21時頃に布団を敷いて眠りこけてしまったらしい。夢を見た。舞空術で空を飛ぶような、荒唐無稽な内容だったが、登場人物は大概、実在していた。現実に繋がる、少し怖くて、悲しい夢だった。しばらく起き上がることができなかった。

机の電気がつけっぱなしだった。このために眠りが浅くなったのだ。机上にあるのは、シルヴィア・ナサー(徳川家広/訳)『大いなる探求』(新潮社、2013年)。19世紀から現代に至るまでの経済学者たちの伝記だ。「それは最悪の時代だった」で始まる本書は今の時代にふさわしい。偉大な学者、芸術家は危機の時代に最良の仕事をすると気づかされる。平和な時、満足している時、何不自由しない時、彼らは骨抜きにされていることが多い。余計なことに手を出して、堕落した生活を送ってしまうのだ。しかし、危機は彼らの本来の仕事に立ち返させ、集中させる役割を持つ。優れた芸術家は敢えて危機を作り出しているのだ。

最後に『大いなる探求』の素敵な個所を抜粋する。

破産に瀕し、世間の評判はガタ落ち、そして65歳と高齢の域に差しかかったというのに、フィッシャーは大不況という災厄によって、いっそう活力が増したかのようだった。

シルヴィア・ナサー『大いなる探求』