書き抜く

「シルバー新報」の増刊特集号が校了を迎えている。この1週間、自分でもよく書き抜いたなと思う。特に誉めることはしないし、特別にシャンパンを開けることもないが、去年まで老人ホームでケアワーカーとして働いていた男が、介護の業界新聞とはいえ、ジャーナリストとして通用しているのは自分でも驚きである。うぬぼれるつもりはないが、執筆・編集の才能があると思う。私なりの独自の視点で、出版物、印刷物を読んでいるからだ。介護の時は歯を食いしばっても惨澹たる成果だったが、執筆と編集は大して頑張らなくてもできてしまう。この違いは大きい。

アリピプラゾールを就寝前ではなく、朝に飲むようにしたが、それでも2時に起きてしまう。もういいや、という感じで、今はブログを書いている。サミュエル・ベケットは『モロイ』の中で、「お前にもやがて眠れぬ夜が来るだろう」と不吉な予言をしたが、まさしくその通りに生きている。不条理文学は構造的、象徴的に分析、解体するものではなく、その本質は案外単純な経験に基づいているのである。

数年間サラリーマンをやったら、あとは独立してしまおう。生活に不安はあるが、下手なアルバイトはせずにとにかく書き抜くしかない。