BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

中年

抗精神病薬のアリピプラゾールを断薬して、1週間がたつ。最初はたんに飲み忘れただけだったが、その後はあえて飲まなくなった。不自然な躁状態と睡眠障害に苦しんでいたからだ。

1週間断薬したら、自然に6時間くらい眠れるようになった。しかし、その代償として鬱になった。今の気持は楽しくもなく、晴れやかでもなく、ただ人生に耐えているという感じである。たぶん、アリピプラゾールは3mgのような低用量ではなく、12mgなどの高容量をガツンと飲んだ方がいいのだろう。気持を持ち上げつつ鎮静化する。躁鬱病にとって、それが最善の処方なのだと思う。

この頃、酒が飲めなくなった。いや、毎日ほどほどに飲んでいるのだが、相当な量を飲めなくなった。しかも、酒を飲まない方が体力的に楽と分かったので、昼間はだいたい珈琲か緑茶を飲んでいる(当たり前か)。ただ、珈琲は飲みすぎると、胃が痛くなるので、飲む量には気をつけている。

こうして、眺めてみると、全体的に体力が落ちている感じがする。私が人生で一番無理をしていたのは、老人ホームで介護をしていた時期で、酒と煙草と精神薬と、薬漬けの生活を送っていたが、中年に入って、あるいは現場を離れたことで、無理ができなくなった。青春は疾風怒濤の日々であり、青年の特権は無理をすることである。それができなくなったことは、私の人生の段階が確実に中年に入ったことを意味する。