業界新聞に転職すると、酒を飲む機会が多いことに気づく。夕方になると、皆そわそわしてくる。「人々は乾く」。
私は社交が文明の進歩を促すという福澤諭吉と同じ立場に立つので(その点、孤独は個人が担うべき十字架である)、酒を飲み、社交が華やぐことに大いに賛成である。省みれば、私の友達、恋人は例外なく酒のみだったのような気がする。もちろん、良い思い出ばかりではなく、酒の席の失敗も多々あるが、下町の新聞屋、都会の新聞社、郊外の老人ホーム……それぞれ仕事と業界はバラバラであるが、酒席では皆、上品だった(唯一の例外として、大学は大いに荒んでいた)。
夕方、あるいは夜に人に誘われて飲んでも、午前2時、3時には目を覚まして作業をしているので、個人活動には何の支障もない。私生活を優先して、飲み会を断る人は多いが、私は大人になるに従って、生活のそういう部分は極力少なくしようと努めてきたので、今の仕事があるような気がする。