立教学院諸聖徒礼拝堂の刊行物に『レンガと蔦』というものがある。礼拝堂の会衆(信徒)が中心に編集・制作している雑誌で、これまで第8号まで発行している。先のクリスマスでは、信徒、未信徒の区別なく、聖餐に集い、共に祈りを捧げた人々にお渡ししている。
コロナ禍の中、チャペルに関係のある人々の交わりを深め、想いを分かち合うために創刊された。第8号では、私は主にDTP(組版)を担当した。InDesignもWordも持っていなかったので、LibreOffice Writerを使って制作した。スタイルを多用し、個別に本文の行間を調整したのと、データの再利用性を考えると、を使わなくて正解だった。
編集・出版に対する考えは十人十色であるが、ISBNを取得せず、取次に渡さない(要するに商業出版ではない)、アマチュアの書籍、雑誌を作るのは、私にとって楽しい経験である。商業出版は稼ぐことを目的にしているので、編集・発行人に責任があり、それなりの品質と収益を追求できるが、編集の経験のない人達が参入するのは敷居が高い。近年、出版不況が速度を増して深刻化しているので、特にその傾向が強まっている。新聞・出版業界の間口は確実に狭くなっているのだ。
一方、昔の謄写版、活版印刷の頃に比べると、パーソナル・コンピューターの普及で、少々のITリテラシーがあれば、誰でも編集・組版ができるようになった。その恩恵はDTPを用いた印刷物にとどまらず、WEBを用いた電子書籍にまで拡がっている。PCの技術革新は私達に表現の自由と、その帰結として思想・良心の自由をもたらした。それは個人と組織をエンパワーメントし、可能性を現実態に変えてきたのである。
と、だんだん話が小難しくなってきましたが、平たく言えば『レンガと蔦』は礼拝堂