鞄の中の本

私が普段、鞄に入れている本の1つに文語訳『聖書』がある。「新約」と「旧約」を備えた完全版で、コンパクト装といえど、鞄の中でそれなりにヴォリュームを取る。ちょうど、昨年の今頃に買い、買った翌日に雨に打たれて、本文用紙がバリバリになってしまった。それでも、毎日電車の中で、紐解いていると、相当手に馴染んできた。読書のコツはただひとつ。ページが擦り切れるまで繰り返し読むことである。昔は色々な種類の本を乱読していたが、中年に入ると、読書の体力も相当落ちてくる。自分にとって本当に大切な本を、言葉を食べるようにして、読み、味わい、自らの血肉にするしかないのだ。