BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

Love and Truth

昨夜、酒場で上司が指摘した、私がかまってちゃんである、という事実について、少し考えてみたい。

かまってちゃんは人からちやほやされたい。私を見てほしい、聞いてほしい、話しかけてほしい、という欲求がある。要するに特別扱いしてほしいのである。ただし、そのためには何らかの工夫と努力が必要である。人間は生まれながらにして美しい訳ではないので、凡夫が先のような恩寵に浴することは稀なのである。——恩寵それは愛と同義である。人は愛を得るために何ができるのだろうか。

芸術は希少である。芸術家もまた社会の中で希少な存在である。彼/彼女の技術クンストは極めて卓越しているために人々の耳目を集めるのだ。

さすれば、芸術家は人と神の恩寵を得るために、必死のおこないを重ねている人なのだ。芸術は人に仕えるだけではない、神に仕えているのだ。芸術は最終的に真なるもの、聖なるものに到達するからである。それは人々が保証することができない「神のみぞ知る」ことである。

あいまことを求めて不断の努力と工夫を重ねる。人々はその人を芸術家と呼ぶのである。