市川聖マリヤ教会の聖餐式に参列した。立教大学の
恩寵(Gnade, Grace)の概念を手がかりに、文学と政治学を切り結ぶことができないか考えている。政治文学と基督教文学の可能性である。社会派と浪漫派は矛盾しない。両者は全体小説として構築することが可能なのではないか。トーマス・マン『ファウストゥス博士』とシェルドン・ウォーリン『政治とヴィジョン』を読み返している。創作ではなく、試論として、今月中には完成を見たい。
われわれは、キリスト教と政治との対抗についてこれまで述べてきたことを、つぎのように要約できるであろう。すなわち、キリスト教の学識は、政治思想の伝統を抹殺するどころか、それに再び活力をあたえたのである——恩寵は政治の学を亡ぼすことなく、むしろそれを完成する1。
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シェルドン・S・ウォーリン(尾形典男、福田歓一、佐々木武、有賀弘、佐々木毅、半澤孝麿、田中治男/訳)『政治とヴィジョン』(福村出版、2007年)158頁。↩