BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

委託

昨日、会社の上司に(進退)について面談したい旨を伝えた。最後は意地の張り合いの様相を呈するのではなくて、今後の私のキャリアビジョンについて静かに語り合うのだろう。私は現場の介護福祉士としてはよくやった。頑張った。ここまで来ると、恨み、辛みもない。晴れやかで、清らかな達成感があるのみである。

今後、私がどのような企業に身を置くのか分からないけど、もはやライターの仕事に拘らなくてもいいと思うようになった。たとえば、広報担当者でもいい。あるいは電子書籍を制作するエンジニアでもいい。ただ一つ共通しているのは、私の介護福祉士の資格を評価してくれる会社に行きたい、ということである。その方がお互いにイメージしやすく、仕事が決まりやすいというのもあるが、私はまだ福祉に未練があるようなのだ。現状はたとえ、技術革新がなく、停滞していて、その結果、低賃金であろうとも、私は理想と技術によって、それを変えたいと思う。だから、私が今まで携わってきた出版と福祉を組み合わせる、少なくともそれを架橋する仕事がしたいのだ。

先日、訪問介護のアルバイトを辞めた時、事業所の所長に言われた。「介護のことも書いてくださいね」その瞬間、私は託されたのだ。これからは己のエゴだけでなく、人々の期待に応える仕事をしたいと切に思った。