BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

長者の功徳

新聞の一つの面の記事を私一人で書いている。今勤めている会社に入社して、2度目のことである。

一人で一面まるまる執筆・編集することは、光栄なことで、記者冥利に尽きるが、その分、苦労もある。

記事には導入文リードを付けなければならないし、写真・図版などにも気を使う。いろいろと気配りしなければならないことが多いが、それでも苦労よりも、喜悦よろこびの方が大きいと思う。

今週号に掲載する原稿で、先に執筆できるものは、先週の木曜日に擱筆して、デスクに渡しておいた。翌日、書き直しを命じられ、連休中は職場のPCに眠らせておいて、今週火曜日にリライトして、DTPに入稿した。週1回発行の業界新聞はやはり、ノンビリしたものである。

昨日、割付されたゲラを編集長が見ていると、「凄く良くなったねえ!」と珍しく褒めてくれた。記者同士、編集者同士は、同業の同僚にしてライバルなので、普通は褒めたりしないものである。その暗黙のルールを敢えて破った所を見ると、私の第2稿が期待を越えていたということである。年長者の功徳も働いたのかもしれない。それはともあれ、普段、褒めない人のご好評に預かるのは気持のいいことだ。

私も後輩ないし部下を持ったら、そういうふうに接したいものだ。