眠りたくても眠れない——。執拗な不眠症の症状に苦しめられたのはいつだろうか?
25歳の頃のことだ。当時、取引のあった広告代理店から無理な要求があって、急遽、新聞に出稿する広告版下を、私が作らなければならなくなった。前日、徹夜していたにも関わらず、その日の夜は気持ちが昂って一睡もすることができなかった。翌日も疲労困憊していたのに満足に眠ることができない。上司は「焼酎飲んで寝ちまいな」と言っていたが、当時、私は日常的に酒を飲む習慣がなかった。会社のかかりつけ医を紹介してもらった。睡眠薬のレンドルミン(一般名:ブロチゾラム)と抗うつ薬のジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)を処方してもらった。内科の先生だったけれど、私の不眠症は独立した疾患ではなく、背後に存在する
先日、荷物を整理していると、飲み残しのサイレースが出てきた。懐かしい気持ちになったが、それはまだ、私が精神病と本格的に格闘していない頃の遺物にすぎなかった。私はまだ自分の問題に正面から向き合っていなかったのである。